5Gと密接な関係にあるインフラシェアリングとは?その意味とメリット・デメリット

5Gのサービスが始まったことで、社会ではいろいろな変化が起こり始めています。しかし、5Gはエリアの拡大という課題を抱えています。その課題を解決するための方法の1つがインフラシェアリングです。

5Gとは何か?

携帯電話を使っていれば、5Gという言葉はよく耳にするでしょう。しかし、「5Gは高速で大容量の通信ができる」という大まかな意味しか知らないという人もいます。そのため、まずは5Gとはどのようなものであるか確認しておきましょう。

5Gの特徴

5Gの有名な特徴は高速で大容量のデータを通信できることでしょう。前の世代である4Gと比べるとその通信速度は20倍ほど違い、120分の動画をわずか数秒でダンロードすることが可能です。

また、通信の遅延が小さいので、スマホゲームで遊ぶ際には入力から反応までのタイムラグも起こりにくくなります。他にも、5Gには同時に多数の機器と接続が可能なため、携帯電話やパソコンだけでなく、本格的なIoTの利用も可能になります。

5Gが可能にすること

5Gは携帯電話やパソコンだけに使われるものではなく、幅広い活用が期待されています。5Gの高速通信や遅延の小ささなどの特徴を活かすことで、車の自動運転や医療機器の遠隔操作、一般家庭へのIoT普及、テレワークやリモートワークを活用した働き方の多様性などが実現可能となるでしょう。

これらの中にはすでに5Gの活用が始まっているものもありますが、今後の技術の発展によって、より便利となることが予想されます。

5Gの使用エリア

5Gの普及は進んでいますが、使用できるエリアはまだ限定的です。これは5Gが抱えている大きな課題です。

携帯電話の周波数は通信事業者によって異なるため、基地局は通信事業者ごとに自ら設置することが一般的でした。そのため、5G導入には大きな初期投資が必要なこともあり、4Gと同じ手法でのインフラ展開は限界があります。

そこで、5Gのエリア拡大という課題解決としてインフラシェアリングが注目されることになりました。

5Gの課題を解決するインフラシェアリングとは?

インフラシェアリングとはその言葉の通りインフラを共有することで、通信事業では基地局やその設備の一部などを複数の事業者で共有することを表します。

すでに5Gでは屋内でのインフラシェアリングは進んでいます。また、インフラシェアリング企業が通信事業者から通信鉄塔を買い取る動きもあり、今後はますます5Gのインフラシェアリングが広がっていくと予測されます。

インフラシェアリングのメリット

インフラシェアリングは5Gが抱える早期拡大の課題を解決する1つの方法であり、すでに屋内用基地局のインフラシェアリングは進んでいます。

その屋内でのインフラシェアリングでは、5Gの大きくエリアの拡大をすることは難しいでしょう。しかし、屋内でのインフラシェアリングにも多くのメリットがあります。

設備設置の交渉

大きなビルや大型商業施設などで快適にスマホを使うためは、屋内にモバイルネットワークのインフラは必要です。その設備の設置をする際には、通信事業者と建物のオーナーで設備の設置費用や電気代、設置スペースなどの細かな交渉が必要でした。

しかし、インフラシェアリング企業が先に建物のオーナーとの交渉を済ませて、先に設備を設置しておくことで、通信事業者は建物のオーナーとの細かな交渉が必要なくなります。そのため、インフラシェアリング企業との商談で目的を達成することが可能です。

設備設置の作業負担

設備の設置は基本的にビルや商業施設が完成して、建物のオーナーの手に渡ってから作業を始めることが多いです。そのため、設備設置にかけられる時間は建物が完成してから入居者が入るまでや店舗がオープンするまでなど、期間が短いことも多く、急いで対応する必要があります。

しかし、インフラシェアリングの場合は1から設備設置の作業をする必要がありません。また、場合によっては建物が完成した時点で設備も完成していることもあり、期間に追われて作業をする必要がなくなります。

設備費用の負担軽減

インフラシェアリングではすでに設置された設備を使うため、通信事業者は設備を設置する初期投資を抑えることができます。また、運用もインフラシェアリング企業の方でしてくれることもあり、自社で運用するよりも費用が安くなる場合もあります。

インフラシェアリングのデメリット

メリットの多いインフラシェアリングですが、デメリットもあります。どのようなことがデメリットとなるのか知っておきましょう。

発注方法

通信事業者は設備に対していろいろな条件を求めます。その条件を満たすには、条件を聞いてから設備の設置に取り掛かることが望ましいです。

しかし、設備は複数の通信事業者と共有することになるので、そのすべての通信事業者の条件を確認していると時間がかかってしまいます。また、条件を確認している間は建物のオーナーとの交渉ができません。

先に求められるであろう設備を先に準備しておくという方法もありますが、その場合はインフラシェアリング企業の初期投資の負担が大きくなり、想定していた条件で通信事業者と契約できなかったときのリスクを負うことにもなります。

障害発生時の複雑化

インフラシェアリングでは、複数の通信事業者が設備を共有します。そのため、もし設備に障害が発生した際には、どの部分でトラブルが起きているのか、そのトラブルを解決するには何が必要であるかなどの判断や対応が難しくなってしまう可能性があります。そのため、障害が発生すると復旧までに時間がかかってしまうこともあるでしょう。

サービスの差別化が難しくなる

インフラシェアリングでは複数の通信事業者が設備を共有するので、A社のスマホはネットに繋がるが、B社のスマホは繋がりにくいという状況が起こりにくくなります。

また、設備が自社の物ではないので、設計を変えることもできません。そのため、通信事業者ごとのサービスの差が少なくなり、通信事業者は他社との差別化が難しくなる場合があります。

インフラシェアリングの動向に注目しておこう

今後はインフラシェアリングによって、5Gの普及は加速すると考えられます。その際には、通信事業者は他社との差別化が難しくなることから、いろいろな施策を打ち出してくる可能性もあるでしょう。その情報を取りこぼさないために、インフラシェアリングの動向にも注目しておくようにしましょう。

 


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